武州通信武州ゼミナールのBLOG

『武州通信』第242号

 今年の8月は雨ばかり。気づかぬまま霖雨の秋が訪れたようです。今は9月も終盤、山装う季節です。

《富さんの『横瀬町』探訪 part 1》の巻

~ 武甲山を臨む「寺坂棚田」の彼岸花 ~

 「1>100」。あれっ! “1は100より大きい” ??? …うーん、どうやらこれは「百聞は一見に如かず」のことらしい。
 百聞は一見に如かず。 昨年9月の『オアシス武州』では、埼玉県横瀬町の町長をしている富田能成さんに「地方創生の現場から」と題してお話していただきました。お話を聴き、いろいろ頭に描き、これは “一度行って見るに如かず” と。それから一年、この9月23日(土)は地方創生の「横瀬町」を “一見” するチャンス到来。なんと言っても「1>100」ですからね。

 ところで、今回は『武州野外大学(第五回目)』と『オアシス武州』の合同という初の試みだったこともあり、参加者は総勢、な、なんと20名。びっくりです。ナビゲーターは例年同様もちろん紺野正さんです。それに今回は細かいことにまで気がつき小回りが利く山田耕司君(武州第11期生)に紺野さんのアシスタントをお願いしました。

 西武線「レッドアロー号」の車窓から三角屋根の小さな横瀬駅が見えてくる。「何だか懐かしいレトロな感じの駅だね」とか「なかなか雰囲気があるよね」と口々に…。早くもわくわくしてきます。早朝にはシトシト降っていた雨も、僕達の気持ちを察してか駅に着いた頃には止んでいて、どうやら心地よい探訪日和になりそうな予感です。 

さて、アニメ『心が叫びたがってるんだ』等の舞台となり若者の聖地?の一つとなった「横瀬駅」を手始めに、探訪開始。両側の畑を眺めながらレンガ風の横瀬町役場(役場と言う語感もなかなか風情がありますよね)を右に眺め、しばらくすると眼下に横瀬川が蛇行しています。川底まで見える透明な清流、この川には山女が生息しているという。河原に集う人々は山女の串焼きを楽しんでいるのかな。そんなことを想像しながら駅から田舎道を歩くこと20分? いよいよ目的地のひとつ『寺坂棚田』へ。
寺坂棚田では富さんが待っていてくれ、それから帰るまで同行していただき、予想もしなかった何とも贅沢な旅になりました。 
 棚田、それは急斜面を階段状に切り開いた田んぼ。その小さな区割りに幾つもの案山子が戯けたように両手を広げて僕達を温かく歓迎しているかのように…。中にはもう稲刈りを終えて稲木干の田んぼもあります。昔懐かしい秋の田園風景がここに。黄色い絨毯を敷き詰めたようなそれぞれの棚田の畦道には無数の紅い彼岸花が隈取を与えていて美しい。此岸の彼方に咲くという彼岸花の群生を前に「今日は秋分の日だった」と今更ながら思う。
この日は霞んで山頂は見えなかったけれど、秩父を代表する武甲山が青々とそそり立っています。武甲山、その名は “日本武尊が、自らの甲(かぶと)をこの山の岩室に奉納した” という伝説に由来しているらしい。そうか、“日本武尊の甲の山”なんだね。武甲山といえばセメントの原料、石灰岩の採掘で有名ですよね。この山は秩父を支えてきた産業の山でもあります。紺野さんは「“動かざること山の如し” と言うけれど、武甲山は山肌を削られ日々姿が動いていくんだよな!」と、何やら何百年も生きてきた仙人のように笑う。
 ところで、彼岸花の赤、稲穂の黄、武甲山の青、この水彩画のように美しいコントラストに別れを惜しみつつ、我々一行もそろそろ『寺坂棚田』を離れる時間、つまり昼食の時間がやってきたようです。

こうして、一路、富さんが予約しておいてくれたそば処『伸平』へ。道すがら「これは秋海棠だね」「秋明菊 綺麗だね」など女性達の囁きを耳にしながら、まるで昼寝をしたような静かな町を通り抜ける。路傍には水引の花が秋を彩っています。涼風に誘われてほのかに金木犀の甘い香りが漂い、近くの畑には一面に敷き詰められた白い蕎麦の花が…。どうやら、そば処『伸平』も近づいたようです。  (つ・づ・く)

(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
『武州大学』10月21日(土)7:00p.m.~
  テーマ:「H・ケルゼンの『純粋法学』を考える」part3
レポート:梶原真秀さん