《第4次産業革命が始まっている》の巻 第248号 | 小金井市・府中市の学習塾|武州ゼミナール

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『武州通信』第248号

 残る桜もほろほろと散り終えて、葉桜の季節。葉桜、それは、次の桜花を育む命の源。 
 さて、人間の現在は? そして次世代の命運は?

《第4次産業革命が始まっている》の巻

 何だか時代の流れが急になり、僕達古い世代は何かと戸惑うことが多くなりました。そこで、現在を読み解き、これからの世界を占うために、3月31日(土)の『オアシス武州』は、眞嶋一郎さんに「第4次産業革命が始まっている」と題してお話ししていただきました。眞嶋さんは「日刊工業新聞社」勤務を経て「宮崎産業経営大学」の教授をされ、長年、日本の工場管理を専門に研究されてきた方です。そして、武州卒業生の眞嶋麻衣ちゃん(第8期生)のお父さんでもあります。
 麻衣ちゃんが高校生の頃「これ、父が書いた本なんだけど…」と頂戴したのが『JIT革命』(日刊工業新聞社)でした。この本は低成長時代を乗り越えたトヨタ自動車の “かんばん方式” について書かれたものですが、当時の僕にはとても衝撃的な内容でした。塾をしていると気がつかないさまざまな時代の変化が手に取るように描かれていたのですから…。さてあれから30年、今ではAI(人工知能)が主導する「第4次産業革命」の時代に突入。これは塾業界にも大きな変化をもたらす予感がします。

 その日、眞嶋さんは、科学技術の現況と将来の可能性について10項目を挙げて説明して下さいました。1990年代の「IT革命」、そして2000年頃には「ユビキタス社会」が語られ、今では「IoT(モノのインターネット)」の時代になりました。既にコンピュータ・ネットワークは社会全体に遍在し、生徒達はスマホでSNSを自在に扱い、家庭にもAIを利用した家電製品が普及し始め、企業ではテレワークやデジタルワークが浸透し始めています。
 また、「3D(3次元)プリンター」の開発に眞嶋さんは注目しています。それは、やがてあらゆる素材に対応できるようになり価格も低廉化すれば、消費者が製品を作れるようになり、これまでメーカーがもっていたモノの製造のイニシャティブを個人つまり消費者がもつことになるだろう、と語ります。なるほどこうなれば、生産拠点そのものの根幹が揺らぎかねませんよね。
 さらに「VR(ヴァーチャル・リアリティ)」の発展にも注目します。確かに、VRは、人間の現実感覚を仮想現実の世界にまで拡張することになるでしょう。それは、人間の感覚自体を操作し変容させるかもしれません。
 また、コンピュータが小型になり身につけて持ち歩くことができるウエアラブル化が進めば、自動通訳機を携帯でき、自国語で外国人と会話することも簡単にできるようになるでしょう。現在、英語教育が盛んに叫ばれていますが、そうなると、多くの人は英語を学ぶ必要がなくなってしまいますから、教育への影響も甚大です。そうです、学校教育だけでなく塾にも…。

 これら現在既に始まっている新技術は、AIによるディープラーニング(深層学習)を通して、従来処理できなかったビッグデータも簡単に処理でき、さまざまな分野に応用できるようになるでしょう。しかも、このようなAIの驚異的進歩は今後加速度的に進み、2045年には人工知能が人間の知能を超える「シンギュラリティ(技術的得異点)」を迎えると言われています。しかし眞嶋さんは、「いや、それより早いかもしれないですよ」と予測しています。    
 こうしてみると、近い将来、AI主導で、労働スタイルだけでなく生産主体にも変化が起こり、教育や生活環境も変わり、さらに人間の感覚さえも変えてしまう「第4次産業革命」の躍進は、どうやら避けられそうにありません。一体どういう社会になるのかな? ちょっと想像がつきませんよね。
 それゆえ他方で、眞嶋さんは「人間はどうなってしまうのか、心配でもあります」とも。その点は僕も気にかかります。アメリカでは「ネオ・ラッダイト運動」、つまり、科学技術への反対運動が各地で生じているようです。何はともあれ、科学技術の一層の発展が、奢り高ぶったバベルの塔の建設にならなければ良いのですが…。

 こうして、産業社会に造詣の深い眞嶋さんの、逡巡しつつも、それでも「第4次産業革命」は確実に進展するだろう、というお話、とても納得でき、興味深く聴かせていただきました。

 ― 50年後の世界、僕も見てみたいなぁ。でも、そんなの所詮無理。その 結末は若い皆さんに託すことにしましょう。50年後、希望に満ちた素敵な社会になっているといいですね。そうなるといいなぁ!!   

(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
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