武州通信武州ゼミナールのBLOG

『武州通信』第250号

 ゴロゴロゴロ、バリバリバリ、大音響の雷(8/13)。大急ぎでパソコンの電源を切る。特大の落雷を伴うゲリラ豪雨の襲来である。テレビも、インターネットも、電話も、一時的に使用不能。その日のうちに復旧したけれど、一瞬 “どうしたらいいんだ” と心の中はヒヤヒヤビクビク。

《忙しすぎる中学生》の巻

 前号で忙しすぎる部活動について書いたのですが、子ども達の忙しさはそれだけではありません。もちろん塾通いもその例に漏れませんね。だから、内心忸怩たる思いもあるのだけれど…。

 ところで、これまでも学校で出される宿題の多いことは気にかかっていたのですが、このところますます増えているような気がするのです。この夏休みに学校のワークを何十ページもやらねばならず、それも一教科だけではなく、何教科もあるのだから…。もちろん、それをさっさとこなせる生徒はいるのですが、それぞれの生徒の現実を見るとそれは途方もない量のように見えるのです。だったらそんなに無理して終わらせなくてもいいじゃん、ですか? 本当にそうですよね。僕もそう思います。雑にやっても身につかない。

 ところがそうは行かない現実があるのです。宿題をやって自分で答え合わせをして、締切日に提出しなければ成績に影響がでるのですから…。極端な話、最近では、宿題を提出し、授業態度が普通であれば、定期テストの成績が悪くても通知表に「1」がつくことはないのです。通知表の「1」と「2」の差、これは大変なことです。特に中学3年生は受験を控えています。そして、通知表に「1」があるということは、生徒を選別する高校の側からすれば、この生徒は成績が悪い上に、授業態度が悪く、しかも提出物も出さないとんでもない生徒だ、ということになるのです。ですから、自力で問題を解けない生徒は、答えを丸写しし、赤丸して提出することになるのです。それに、たとえ答えを丸写ししても途方もない時間がかかります。これでは少しも学力はつかず、子どもの時間の単なる浪費にほかなりません。
 いま勉強の苦手な生徒の例を挙げましたが、自分で解ける生徒にしても、自分の力で解くにはこれはこれでとんでもない時間がかかるのです。自力で真面目に取り組もうとすれば、おそらく夏休みの大半を宿題に明け暮れることになるでしょう。あっ、そうそう、宿題が多いのは長期休暇だけではありません。通常授業の日でも同じことです。

 ところが、宿題を出す先生を一方的に批判しにくい現実もあります。最近では先生の事務的な仕事が多くなり、生徒の勉強をしっかり見る時間が取れない、という話もしばしば耳にするのですから。きっと先生も忙しく、その結果、生徒に宿題を、ということなのでしょう。確かにこうした問題は、個々の先生を非難するだけでは解決しない問題、なのかもしれません。
 思い起こせば、この状況は、2000年に東京都が「成果主義的教員評価(人事考課)制度」を導入したことに端を発しているような気がします。当時、いじめや不登校、それに学力低下の原因が、教師の指導力不足や教師としての不適格性によるものとして問題にされたのです。その結果、学校管理職による教師の業績・能力評価という管理目標が制度化され、それが教師の給与にも反映し、また、教育目標の自己申告などが義務付けられ、教師の事務的仕事がどんどん増えていったようです。さらに、2002年には生徒の成績の(教師による)絶対評価も導入されました。こうして上から下への管理体制が確立し、教師は管理職に、生徒は教師に、管理されることが一般化したのでしょう。それが、末端の中学生を苦しめている本当の原因に違いありません。こうして学校という教育現場の迷走?が定着したのだろう、そんな気がしてくるのです。

 今年の夏期講習のさなか、「学校の宿題やったら駄目?」と悲痛な訴えが…。「どれどれ、ちょっと宿題の範囲を見せて」と僕。その生徒と宿題を交互に見ながら、確かにこれをこの子一人で終わらせるのは無理だろうと判断し、答えを丸写しするのではなく、自分で考えて、分からないところは質問することを条件に、OKすることにしたのです。もちろんそれは数人の生徒への例外措置なのですが、武州始まって以来の初の試みでもありました。それにしても、学校の宿題を塾が面倒を見なくてはならないというのは、何とも奇妙な話です。

 何はともあれ、学校の出す宿題が、中学生をいたずらに忙しくしているだけでなく、学力の向上を阻む一因になっているとしたら、何という逆説でしょう。                                                

(斉藤 悦雄)

【インフォーメーション】
『武州大学』9月15日(土)7:00p.m.~
  テーマ::関内幸介君の『利潤分配論』を考える part2
  レポート:斉藤悦雄
『オアシス武州』9月29日(土)7:00p.m.~
  テーマ:『小企業で潜り抜けた戦後日本経済の移り変わり ー 半導体、ロボット、そしてAI、IoT』
           ~ 知られざる日本の小企業、小商社 ~
  お 話 :加藤隆一さん